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4分間で読む-ガストン・ライト

決定権者はオンラインで市民に応えることに前向きになりつつある

Change.org アルゼンチンは、ライブストリーミングによる対話によって市民と政策決定権者とのつながりを生み出している

政治の説明責任を果たすための伝統的なメカニズムは、新型コロナウイルス発生以前から機能不全の兆しを見せていたのではないだろうか。この5年間、私たちは政策の決定権者の行動に対して説明責任を果たさせるために、市民が新しい方法を模索する姿を目撃してきた。市民は、インターネットやソーシャルメディアなど、テクノロジーを駆使して開発した最新ツールを最大限に活用し、TwitterやFacebook、あるいはChange.orgのようなオンライン署名が行えるプラットフォームでさまざまな問題に対する意見・見解・要求を形にし、官僚に対して厳しい目を向け始めたのである。 

アルゼンチンも、こうした市民の取り組みの変化とは無縁の存在ではない。昨年の選挙活動期間中には、800万人を超す人々が候補者宛てに立ち上がったキャンペーンに賛同した。また、Change.orgが開設した新しいツールである“Argentina Elecciones 2019”を通じて、アルゼンチンの人々は選挙の候補者と関わることができるプラットフォームを手に入れることもできた。このサイトの立ち上げ以降、本稿執筆時点で政治家からは86件もの返信が届いている。返信した候補者のリストには、ブエノスアイレスやコルドバなど最も重要な選挙区から出馬している候補者も含まれている。

このプロジェクトはその後、多数の有権者と候補者をオンラインでつなげ、説明責任を果たしてもらうことを目指したオンラインでの政治参画の実験室のような存在となっていった。しかし、のプロジェクトがアルゼンチンでより多くの(そしておそらくより影響力の大きな)市民と政策決定者を質的・量的双方から巻き込んでいく場を設定する助けとなっていたことを認識したのは、はるかに後になってのことである。

政策の決定権者から集まった返信は100日間で合計67件にも及んだ

3月初めに新型コロナウイルスによる危機がついにアルゼンチンにも到来した時、政府はきわめて厳しいロックダウンを実施することを決定した。この迅速な反応は、保健衛生の観点からはきわめて歓迎すべきものであった。さらに、ロックダウンによって市民が直面せざるを得なくなった具体的な問題の解決のため、市民と政策の決定権者が関わる多くの機会を生み出すことにつながったのである。 

そのために、私たちは2019年の選挙シーズンに採用したステップをなぞることにした。間もなくして、Change.orgで立ち上がったキャンペーンや、それらに賛同するユーザーが急増し、政策の決定権者たちは、それに対して具体的な答えと共に正面から向き合い反応したのである。結果、100日間で盛り上がりを見せた新型コロナウイルス関連のキャンペーンは、彼らから67件の回答を引き出すことができただけでなく、その中にはブエノスアイレス市の首席補佐官、アルゼンチンのオンブズマン、国民議会の野党党首、国民議会議員をはじめとする官僚や政治家も含まれていたのである。

こうした対応を受け、私たちもChange.org上で声をあげた発信者やユーザーたちに対し、さらに強固なサポートを提供することにした。Instagramを使って、ブエノスアイレス市の市会議員たちとのライブセッションをスタートさせたのである。私たちは議員たちを招いて、かれらの仕事ぶりを紹介するとともに、Change.orgのツールを利用して有権者たちと効果的なコミュニケーションをとる方法を指南した。このやり方をもとに、私たちはコルドバ、メンドーサ、サンタフェの政治家たちとの間でも、この新しいコミュニケーション方法を拡げていく計画を立てているところだ。

新型コロナウイルス発生後の世界は、民主主義に対して多くの課題を突きつけると同時に、変化を起こすチャンスを提供しているとも言える。政治家たちは、現実的で具体的なソリューションに関心をもつ市民たちをターゲットに入れて、オンラインでのプラットフォーム上で彼らの要求に応えることに前向きな姿勢を示しつつある。この新しい時代は、従来の民主主義的な説明責任を求めるメカニズムから、「デジタルアカウンタビリティ(オンラインで説明責任を果たすこと)」のための新しく革新的なツールへの移行が始まった時代と位置づけられるのではないだろうか。

筆者: ガストン・ライト
エグゼクティブ・ディレクター(Change.org アルゼンチン)