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4分間で読む-ハビエル・サンチェス

社会的課題に影響を与えるキャンペーンが増加

スペインの市民は、世界でもっとも厳しいロックダウン期間中に自らの声を発信した

私たちがエリザベスと最初に話したのは2020年2月10日のことだった。彼女は広告代理店で働いていて、スペインのバルセロナで開催される予定のモバイルワールドコングレスに参加することになっているクライアントを何件か抱えているとのことだった。新型コロナウイルスの大規模な感染を防ぐために、このイベントの開催中止を訴える彼女のキャンペーンにはあまり賛同が集まらないだろうと予想していた。世界的には大きな期待を集めているイベントであり、開催中止という大胆な行動をとった後に予想される経済的影響を考えた時、誰が開催中止に踏み切れるというのだろうか。また、開催を中止することは、新型コロナウイルスに対するさらなる恐怖と混乱を生み出す原因となるのではないか。

その時点では、この危機が世界を席巻することになると予測したものは誰もいなかった。だが、医療専門家たちが健康面でのリスクはないと保証する一方で、AT&Tからドイツテレコム、ボーダフォン、インテル、Facebookに至る主要テクノロジー企業が撤退することを表明し始めたのである。2日後、モバイルワールドコングレスは、カタロニアやスペインの当局からの要請を振り切って開催中止を発表したのである。

私は、こうした企業各社の数千人の従業員たちが声を上げ、増大する健康危機に関する思いを共有できていたらどうなっていただろうかと考えてしまう。おそらくエリザベスは正しかったのだろう。大規模なグローバルイベントに何百人もの人が集まるのは好ましいことではなかった。

2020年3月14日に警戒事態が宣言されてから、緊急事態宣言が解除された6月21日まで、スペインに市民はかつてないほどの懸念を「表明」していた。ほとんどのデモは路上ではなく、バーチャルフォームで実施されたが、指導者たちは何度も何度も注意深く耳を傾けるしか選択肢がなかったのが実情であった。

政府が警戒レベルを引き上げた時、政府が提案した活動のひとつが、美容院やビューティセンターは開業を続けるのを認めることだった。この措置は、移動を制限された人々が個人的な衛生状態を維持する必要性に対応したものだった。しかしながら、多くの人々は、この例外措置によって、何千人もの従業員がリスクに晒される可能性があると感じたのだ。こうした状況を受けて、このような業種に対しても一時的な休業を求めるキャンペーンがスタートし、数時間のうちに9万を超す人々がこのキャンペーンに対する支持を表明したのである。翌日、政府はこれらのセンターは、ホームサービスを例外として、休業要請の対象になると発表した。

The boy who got an award in honor of his mother, a healthcare professional

同じ週末、全世界のChange.orgの活動の3分の1がスペイン発となるという状況が生まれた。7日も経たないうちに、約4,000件のキャンペーンが立ち上がったが、この数字はスペインで毎年この時期に立ち上がる数より6倍も多いものであった。 

3月だけでも、スペイン1国だけで、1,400万を超す署名が集められた。最初のころは、メインの主張はフェースマスクや個人用防御服など医療従事者用の資材を求めるもので、このキャンペーンはスペイン保健省から公式の反応を得ることができた。

Princess of Asturias Award featured on Spanish TV. Image credit: LaSexta

数週間後、同じ医療従事者たちが、その歴史的な取り組みによりアストゥリアス王女賞を受賞することになった。アストゥリアス王女財団に授与の提案をしたのは、看護師を母親にもつ15歳の少年ディエゴだった。他者を救うために命を懸けて働いている人たちを守り、敬意を示すために、市民が声を上げ、その声が届いた二つの事例が生まれたのである。

調停と子どもたちの権利

5月26日、1人のジャーナリストがスペインのペドロ・サンチェス首相宛にキャンペーンを立ち上げた。これは、Club de las Malas Madresが発信者となったキャンペーンで、パンデミックと戦っている家族を支援するための効果的な措置を求めるものだった。このキャンペーンには、テレワーキングを認めることや、給与を下げることなく労働時間を調整することなど数項目の要求が含まれていた。数日後、20万を超す人々がこのキャンペーンに賛同したのを受けて、平等大臣のイレーネ・モンテロがリモート会議システムを利用して、このキャンペーンの発信者たちと会見した

Minister Irene Monteiro speaks with petition starter. Image credit: Ministerio de Igualdad

今回のような厳しい閉塞状況でもっとも辛い目に遭っている集団があるとすれば、それはわが国の子どもたちではないだろうか。移動を制限する政策によって、可能な限り家に留まることを強制されており、これが全国民、中でも家族の最も若いメンバーたちの活力を奪っている。 

この状況を受けてエイケ・フレイレは、新型コロナウイルス危機の期間を通じて、子どもたちの権利とニーズを認識・擁護することを求めるキャンペーンを開始し、メディアの注目を集めた。エイケは数十件のメディアインタビューを受け、キャンペーンの成功につなげた。14歳未満の少年少女、数百万人が最終的には規則に従った形で屋外活動を楽しみ、外出ができるようになったのである。

これらは、スペイン市民が経験してきた全国的、地域的、そしてローカルな市民活動の数十件に及ぶ例のほんの一部に過ぎない。私たちが1日に24時間を家で過ごさざるを得ない時期にあって、自分たちが声を上げなければと考える人が出てくるのは当然のことだ。それが現実である。スペインの市民はオンラインを活用して変化を求め、それぞれが家庭にいながら共同でソリューションを生み出してきたが、その力強さはこれまでと少しも変わりはないのである。

筆者: ハビエル・サンチェス
キャンペーン&コミュニケーション・ディレクター(Change.org スペイン)