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4分間で読む-プラルタナ・グプタ

医療従事者を守るために

現代のヒーローであるインドの医師のために立ち上がる人々
Manoej Paateel / Shutterstock.com

世界最大の民主主義国の市民として、私は母国であるインドが幾多の危機を乗り越えてきただけでなく、何年にもわたって緊張をもたらしてきた出来事をどのように乗り越えてきたのかをよく知っている。しかし、今回の新型コロナウイルス禍は、私たちの多くが経験したことのないようなものだ。流行の初期には、過剰反応が常態化して、いつになったら自由に外出ができるのか分からない、感染者の増加曲線がいつ平らになるのか分からない、ソーシャルディスタンスをとることが「新しい生活様式」の一部となるだろうか、といった先行きの不透明さが広がるようになるとは思いもよらなかった。世界各国と同じように、インドもまたパニック状態に陥ったのである。

しかしながら、私たちにはテクノロジーという味方がいた。ソーシャルディスタンスが要請され、インターネット上では「#StayAtHome(ステイ・アット・ホーム)」が時の声として叫ばれる時代にあって、テクノロジーこそが喫緊の目的に向けて市民が(バーチャルな形にせよ)団結するのを支援する武器となったのである。

医療の最前線で活躍するサリカ医師は、行動を起こすにあたってインターネットを活用した何千人ものインド市民のひとりだ。時には防護服も着用できずに、長時間、絶え間なく働く彼女は、新型コロナウイルスと戦う患者に向き合う中で自らの命も危険にさらしている。新型コロナウイルス(そしてその潜在的感染者)と日々向かい合っているインドの医師たちが、差別、肉体的暴力、言葉による虐待に晒されていることを知った時、彼女がどのような対応をとったのか想像して欲しい。

彼女は、他人の命を救うために自らの命を危険にさらしている医療従事者はよりよい環境を享受する権利があると考え、Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)を通じて、医療従事者に対するこうした攻撃は保釈が認められない犯罪であることを宣言するように政府に宛てたキャンペーン を立ち上げた。

「私のような医師は、時には防護服もない状況で不眠不休で働いています。私たちは自分自身が新型コロナウイルスのキャリアかも知れないという恐れから、家に帰って家族に会うのもためらうほどで、心の健康は限界状況にあります。しかしながら、私たちの心を本当の意味で打ち砕いたのは、この数日にわたって私たちに加えられた暴力だったのです」とサリカ医師は語る。

サリカ医師がキャンペーンを立ち上げてから数時間のうちに、インドのChange.orgチームは同医師に接触して、彼女のキャンペーンを数百万人の人々に向けて広めるためにサポートした。チームからのアドバイスを受けて、サリカ医師はオンラインで一般市民の賛同を集めるるためにメールを送信し、メディアのインタビューに対する準備をした。キャンペーンを開始してからほんの数日のうちに、彼女は国内外のニュースチャンネルのプライムタイムで自らの主張をする機会を得たのである。

3週間のうちに、20万人を超す人々が彼女のキャンペーンに賛同した。私自身もキャンペーン担当者として、サリカ医師の思いに共鳴し、彼女の主張を支える多くの人々の存在を知って安心した。そして、今回のようなコロナウイルスに関連した緊急かつ派生的な問題を解決するための手段としてテクノロジーに目を向ける人々が何千人という規模で存在することを知って大いに触発された。

署名活動の開始から1ヶ月足らずで、サリカ医師のキャンペーンは4月22日に勝利を宣言することができた。政府が「流行病法」を公布することで彼女の主張に応えたからである。

「中央政府は『流行病法』に基づいて、医師や医療従事者を攻撃することが審理対象となる、保釈を許されない犯罪と認定しました。社会にとって真の意味での課題となるのは、この病気に押された烙印を消し、患者に共感と思いやりをもって接することができるかどうかです。辛くタフな時代が長く続くことは、まずありません。毅然としたタフな人々が行動を起こせば」 とサリカ医師は語っています。

Health workers nominated to the Nobel Peace Prize by Change.org users

医療従事者たちは、ポストパンデミック社会のヒーローである。新型コロナウイルス流行の当初から現在に至るまでChange.org上で発信された新型コロナウイルス関連のキャンペーンのうち、9.68%は私たち全員を守ることを職業としている人々に敬意を表するもので、合計で1,038万の署名を集めている。彼らはChange.orgユーザーによって非公式にノーベル平和賞にノミネートされており、そのキャンペーンは多くの国の人々から支持を集めている。私たちが、世界各地で展開されているキャンペーンを紹介している特設サイトにこれらの勇敢な人々の写真を選んだ理由もまさにそこにある。

Healthcare professionals as the cover image of the global Change.org movement responding to Covid-19

こうしたストーリーは、現在のような試練の時代であっても、私を鼓舞し続けてくれる。私たちがどのように感じたのかをソーシャルメディアを利用して、ツイートやコメントする時も、私たちにはできることがもっとあるのだと思い知らされる。

私たちを守ってくれる人々を守ろうとするサリカ医師の決意は、彼女のキャンペーンを通じて具体化したが、これは私たちになじみ深い、インド人らしい力強い決意の例のひとつである。サリカ医師のストーリーや、同じような決意に満ちた数多くのストーリーに接する時、私たちは協力して立ち向かえば新型コロナウイルスに打ち勝つことができるという信念を持ち続けることができるのだ。

筆者: プラルタナ・グプタ
キャンペーン&サブスクリプション・ストラテジスト(Change.org インド)