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6分間で読む-遠藤まめた&メリー・インボング

政治参加者は若年化が進んでいる

増えつつある日本の若者の政治参加

日本の若者は、長きにわたって政治に無関心だとみなされてきた。しかしながら、新型コロナウイルスの流行以来、日本の若者の間で政治参加の動きが新しい形で、また、より急激な変化を見せている。学生や若い活動家たちがあげる声は、高く掲げられたスピーカーホンを通してではなく、オンライン署名やソーシャルメディアへの投稿などオンラインでの活動を通して、多くの人に届けられているのである。

SIGNING Ltdが行った調査「Covid-19 Social Impact Report (新型コロナウイルスの影響報告書)」も私たちの推測を裏付けている。同報告書には、日本では現在、SNS上で新型コロナウイルスをめぐる問題について意見を共有する若者が増えていることが示されている。その調査によれば、10-20歳の若者の40%以上が、自分たちの考えをオンラインで共有していると報告されている。

Change.org Japan(チェンジ・ドット・オーグ ジャパン)で立ち上がるで新型コロナウイルス関連のキャンペーンの多くは、学生たちが直面している問題や教育行政の決定に対する意見をめぐる問題となっている。 

何千人もが声を大にして主張するまでに、若者を駆り立てたものは一体何なのだろうか? 新型コロナウイルスに関して、具体的にどのような問題を若者たちは提起しているのだろうか?そして、これらの若者たちはオンラインでどのように団結しているのだろうか?

「卒業式を中止しないで」

卒業を控えた早稲田大学の学生であった岡本さんは、大学から新型コロナウイルスの感染拡大を理由に卒業式を中止するとの通知をメールで受けるとすぐに、キャンペーンを開始した。

彼女は卒業式中止のメールを受け取った夜、このまま学校生活が終わってしまう残念さで胸がいっぱいになり、深夜にこのキャンペーンを立ち上げたのである。キャンペーンは成功し、岡本さんたちは9月に開催される卒業式に参加できることになった。

「最初の頃は100を超える賛同が集まるなんて全く予想していませんでしたが、賛同数が日を追うごとに増えていったのです。私は感謝の気持ちで一杯になり、励ましてくれる人たちがこんなに沢山いるのだと言うことに気づかされたのです」 

このキャンペーンを受けて、他の大学の学生たちも同様のキャンペーンをスタートさせており、その中には数週間で成功を達成したものもある。

「勉強することは人間の命よりも大切なのか?」

高校生の間にも、教育行政、例えば京都市教育委員会や京都府教育委員会の決定に疑問を呈する動きが見られるようになった。4月初め、一部地域で通常のスケジュールに沿って授業を再開すると発表したのを受けて、これに反対する数人の生徒は「命より勉強が大事ですか?」と訴え、キャンペーンを立ち上げた。 

ほどなくして、多くの学生たちが教育活動の再開を延期を求めてChange.orgに集まったのである。数日のうちに、約200件のキャンペーンが続々と立ち上がり、集まった賛同は合計で11万に達した。 

「京都市教育委員会や京都府教育委員会は、新型コロナウイルス感染の脅威を正しく認識していないように思われます。この決定は、私自身も含めた学生たちとその家族を危険にさらすものです」とキャンペーン発信者の関戸さんは語っている。

学生たちは自分たちが一番よく知っているプラットフォームを利用してキャンペーンを拡大している

Twitterをバーチャルなコミュニティの場として活用し、多くの大学生たちは、授業料の支払いに金銭的な困難を感じていることを訴え、自分たちの苦労についてツイートしたりコメントでやりとりした。金銭的な問題が緊急のニーズであるという共通の見解で集まった学生たちは、大学に対して授業料の減額や返還を求めるキャンペーンの立ち上げに向けたLINEグループを作った。

こうした試みによって、全国の大学170校あまりを宛先とするキャンペーンがほとんど同時に開始された。

若者たちがオンライン上で社会課題の解決のためのアクションを起こすムーブメントの拡大は、日本にとって明るい未来を予告するものと言えるだろう。伝統的なやり方(例えば、対面での会話)ではないやり方でコミュニケーションをとることにあまり戸惑いを感じなくなる人たちが多数を占めるようになるなど、デジタル化された生活様式が国の政策決定者を含め日本国民に広がっていけば、さらにその傾向は強まるだろう。若者とそれ以外の人たちのバーチャルな出会いは、高齢者が人口の28.1%を占める日本では、市民が生産的かつ効率よく政治に参画していくためのツールとして不可欠なものである。

若者たちは、特定の集団やイデオロギーを背景に結集するのではなく、身近で具体的な課題に対して問題意識を感じて、声をあげるほうが社会参加しやすい傾向にあるとも言われている。彼等にとっては声をあげる同世代の姿が最も刺激的であり、「自分の声に価値がある」と感じるきっかけになる。 

今後も自分たちで声をあげること、変化を起こすことが若者世代にとって当たり前の選択肢になるように、Change.orgは引き続き、若者へのサポートを続けていくべきだと考えている。

筆者: 遠藤 まめた
キャンペーン・サポーター(Change.org Japan)
編集者: メリー・インボング
ラーニング・アソシエイト(Change.org財団)