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5分間で読む-アレックス・ラプソン

オフラインでのアクションは変わらず大きな変革へと続く道となっている

コロナ禍で起こった人種間の正義を求める世界的なムーブメント

ジョージ・フロイドは、父親であり、アスリートであり、ラッパーであり、ルームメイトであり、クリスチャンであった。そして彼の最後の言葉は、”I can’t breathe. “ ( 息ができない)だった。

5月25日、新型コロナウイルスのパンデミックが拡大する中、フロイドは地元ミネアポリスの食料品店の外で逮捕された。フロイド本人と彼の周りに集まった人々の抗議にも関わらず、警察官のデレク・ショーヴィンは8分46秒にわたってフロイドの首を膝で押さえ込んだ。フロイドは20回以上も「息ができない」と叫んだが、警官は膝を外そうとせず、3人の同僚警官が見下ろす中、程なくしてフロイドの呼吸は止まり死亡した。 

ジョージ・フロイドが直面した残虐な行為は、アメリカの黒人たちにとっては決して目新しいものではない。警察官の手によってもたらされたその死に対して世界中で起こった反応は、オンラインでもオフラインでも革命的な抗議運動を引き起こした。 

15歳のケレンは、フロイドの死を伝えるビデオを見て言葉を失った。そして、Change.orgでジョージの正義のために声をあげようと訴えるキャンペーンを立ち上げたのである。それに対する市民の反応は、私たちがこのプラットフォームで目撃したどのキャンペーンにも例を見ないものだった。ほんの数日の間に、数百万もの人が世界中からケレンのキャンペーンに賛同したのである。

A Change.org billboard promoting a petition to demand justice for George Floyd in New York City. — Reuters

一方で、世界各国の人々は街頭に出て正義を訴えた。デモ活動は、フロイドの死の翌日にミネアポリスで、そしてアメリカ国内の各都市で始まった。デモの参加者は、街中を行進し、抗議の声を上げた。夜通し抗議する者もいれば、過去に犠牲になった黒人たちの命を思い瞑想する者、フロイドが呼吸ができなかった8分46秒の間、黙祷する者もいた。

あらゆる方向から来る圧力が政策の決定権者を動かした

6月3日、ジョージ・フロイドが拘束され死亡した際に現場にいた4人の警察官は全員起訴された。フロイドの首に膝を押しつけた当本人であるデレク・ショーヴィンには第2級殺人の容疑が、残りの3人の警官にはほう助と殺人教唆(きょうさ)の容疑がかけられることになる見通しだ。 

しかしながら、キャンペーン発信者であるケレンと彼女のキャンペーンに賛同した数百万人の人たちは、4人全員に有罪判決が出るまで満足することはないだろう。街中に集結した何百万人という抗議者たちもまた、そのアクションを止めようとはしていない。彼らは、一時的な怒りを収めるだけでなく、歴史的な変革を求めて行進し続ける。彼らは、「このまま何もなかったように済ますことはできないし、決してそのつもりもない。」と訴えっている。

ジョージ・フロイドの正義を求めてケレンが立ち上げたキャンペーンに集まった賛同は、1,900万を超え、オンライン署名史上最大の賛同数となった。この賛同には、国連に加入している全ての国からの賛同が含まれている。そして、オンラインで始まったアクションは、オフラインでのアクションにつながっていったのだ。フロイドの死に対する正義を求める抗議活動は現在も、日本からフランス、そして南アフリカと世界60カ国以上で行われている。

この人種問題における正義を求める戦いによって急激に高まったエネルギーによって、他の数十件にも及ぶ警察による残虐な行為にも注目が集まった。自宅で警察官によって殺害された若い黒人女性、ブリオナ・テイラーの正義のために立ち上がったキャンペーンには1,000万近くの賛同が集まり、全国的に起こった抗議デモのプラカードには、他にもアマッド・アーバリー、イライジャ・マクレイン、デイヴィッド・マカティー、トニー・マクデイドら、人種差別による暴力の犠牲者たちの名前が書かれ、彼らに正義を求めるキャンペーンが相次いで立ち上がった。

オンラインで起こったアクションはまた、オフラインでのアクションへとつながることがある。暴力を伴わない抗議デモの参加者たちに警察がゴム弾を使用し、思わず目を背けたくなるような傷を負わせたことを受け、ヴィアンジェリーはゴム弾の使用を禁止するキャンペーンを立ち上げた。 

抗議デモの参加者は、市が警察予算案を否決するように求めて座り込みを行い、地元で立ち上がったキャンペーンの総数はコミュニティへのサポートの規模を如実に示している。 

オンライン・オフラインに関わらず、正義に反する出来事には毅然と抗議する態度を示す人は増えている

Homepage of Change.org Justice Now movement

パンデミックの渦中で起きたジョージ・フロイドの非情な死は、転換点となった。コロナウイルスをきっかけに職を失ったり、あるいは家の中で缶詰状態になっている数百万人の人たちが、必死になって政府に助けを求めており、アメリカ国内の社会に生じた巨大な亀裂はかつてないほど露わになっている。新型コロナウイルスの影響は、有色人種のコミュニティに非常に不均衡で大きな犠牲を強いており、失業者も新型コロナウイルスの感染者も有色人種が圧倒的に多い。新型コロナウイルスによる死亡率は、白人に比べて黒人が3倍も多いのである

この変革を求める動きは、単に警察の残虐性や法制度に関するものだけではない。これは医療の問題であり、経済や教育制度の問題であり、私たちの正義の理解を問う問題である。ただでさえ暗い時代にあって、ジョージ・フロイド殺害によってもたらされた痛みやフラストレーションは、封じ込めることができない。その結果が歴史の清算であり、きわめて多くの人たちが、オンラインで、そしてオフラインで、そして時には権力者の家の玄関前で、アクションを起こすための新しい方法を模索しているのである。

筆者: アレックス・ラプソン
アソシエイト・キャンペーン・ディレクター(Change.org 北米)