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6分間で読む-ガルヴィタ・キブリ&メリー・インボング

男性よりも女性の方が多くのキャンペーンで成功を収めている

インドは、キャンペーンを効果的にジェンダーの問題に関連づけるトレンドの先頭に立っている

インドの一部地域では、新型コロナウイルス感染が急速に拡大している。本稿執筆時点で、インド保健福祉省によると感染確認者数は133万6,800人を超えており、アナリストたちはピークはまだこれから来るとの懸念を表明している。政府が全国的なロックダウンなどの厳しい対策を講じている中、市民たちは権力を持つ人々にさらなる救済策と説明責任を果たすことを求めて、オンラインキャンペーンに目を向けてきた。

流行が始まって以来、インドではChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で立ち上げられた新型コロナウイルス関連のキャンペーン数が劇的に増加しており、1万1,208件を超え、更に増え続けている。

Change.org(インド)の2億人のユーザーのデータに基づくと、新型コロナウイルスに関連するキャンペーンの約70%は男性が立ち上げたもので、これに対して女性が立ち上げたものは約30%であった。しかしながら、署名数100というベンチマークを超えることができたキャンペーン数に着目すると、男性が立ち上げたキャンペーンでこれをクリアしたものは17%に留まっており、成功を達成できた比率はさらに小さいものとなることが判明した。

その一方で、女性が立ち上げたキャンペーンははるかに成功率が高く、100の署名というベンチマークを達成したキャンペーンは40%近くに達する。女性が始めたこれらのキャンペーンは、男性が始めたものと比べて、成功率は2倍を超えている。 

インドでは、キャンペーンを立ち上げる女性の数は男性よりも少ないが、現在及び過去のデータが示すところによれば、成功率は男性よりも高い傾向が出ている。これは2017年にハーバード大学公共政策大学院が行った調査結果とも一致している。

では、インドでは、パンデミック期間中に女性たちはどんなテーマでキャンペーンを立ち上げたのであろうか? そして、どのような変化がこれからの数カ月の間に起きると私たちは期待することができるのだろうか? 

私たちのプラットフォームで最高の成果を上げたキャンペーンのいくつかを一緒に調べてみましょう。それによって、インドの女性がコロナ禍に、どのような問題に対して主張を行ったのかを把握することができるだろう。

1.ドメスティックバイオレンス

NCW(国家女性委員会)の報告によれば、インドでロックダウンが始まって以来、ドメスティックバイオレンス事件の発生数が突然2倍になった。工学士で男女平等を提唱するメルは、 #SetuFightAbuseというキャンペーンを開始した。これは、女性のための家庭内虐待への介入機能をインド政府提供の新型コロナウイルス追跡アプリ”Aarogya Setu(「健康への架け橋」の意)”に早急に統合することを政府に要望するものである。

本稿執筆時点で、メルはNCWが彼女の主張を承認するのを待っている状況だ。一方で、メルは家庭内虐待の実態を伝えるビデオをリリースし、「実施のプロセスを速める」ためのストーリーボードを用意した。彼女のキャンペーンは賛同を集め続けており、賛同数は2万8,000を超え、今でもさらに増え続けている。

2.社会から取り残された人々への経済的打撃

インドにおけるロックダウン実施の影響をもっとも厳しく受けた層のひとつが、農村地帯から全国の都市部に働きに来ている数百万人の出稼ぎ労働者である。食糧を買ったり、家賃を払うためのお金をここ2カ月間、ほとんどか全く手にしていない。このため、国境を越えた大脱出が始まっている。鉄道や道路を利用した公共輸送が止まっているため、子ども連れで、わずかな所持品だけをもって数千キロの道を歩いて行かなければならない。この事態をインド史上で1948年以来最悪の人道的危機だと指摘する声は多い。 

シリン・シャバナとスニタ・クマリの2人のキャンペーン発信者は、この問題に取り組み、インドの出稼ぎ労働者に移動手段、食べ物、水など基本的なニーズを提供するように政府に要求した。2人のキャンペーンは開始以来、22万を超える署名を集め、その数は現在も増え続けている。より重要なことは、政策決定者で議員であるマニシュ・テワリが5月初めにこのキャンペーンに対して前向きな反応を示したことである。

同議員は、「人の移動に関するガイドラインを定めた4月29日付けの内務省令に準拠して、チャッティスガル、パンジャーブ、ラージャスターンの3州では議会主導の政府が足止めを食らった労働者と出稼ぎ労働者が帰宅するための鉄道費用を負担していることを皆さんに喜びとともにお知らせします。ガンディーの指示により、その他の全州のプラデシュ議会委員会は困窮している労働者と出稼ぎ労働者の鉄道運賃を負担する予定です」と述べている。

3.弱い立場のコミュニティの健康と安全

新型コロナウイルスの直撃を受けたインド西部のマハーラーシュトラ州では、刑務所で陽性反応が出た人の数が増え続けている。メディアの報道によると、同州の刑務所では服役している母親とともに収容されている子どもたちが100人以上いる。そのうち26人は6歳未満の子どもだ。

キャンペーン発信者のマナリ・ジョシは、この問題に取り組むキャンペーンをスタートさせて、女性受刑者、とくに子連れの受刑者のための避難場所を提供することを呼びかけた。このキャンペーンでは、女性受刑者と子どもたちのための隔離された検疫室を用意して、通常の健康診断とともに刑務所内で受診できるようにすることを求めている。彼女のキャンペーンは、3週間で4,000程の賛同を集めた。

4.食料の確保

ロックダウンの期間中、インドでは都市部に立地する製粉所だけが稼働していたため、多くの地方では飢餓状態が発生した。この飢餓問題に対応するため、消費者権利活動家のリンキ・シャルマは、製粉所がロックダウン期間中の基本的なサービスであることを宣言すべきだとキャンペーンを展開した。これにより、より多くの人々、とくに地方に住んでいる人々が小麦を買って、家族に食べ物を与えることができるようになる。

5.医師や看護師に対する攻撃

感染が流行して以来、インドでは何千人もの医療従事者が新型コロナウイルスにさらされているという理由で、差別や肉体的な暴力、暴言を受けている。最前線で活動しているサリカ医師は、自らの命を危険にさらして、新型コロナウイルスと戦っている患者の治療にあたっているにも関わらず、こうした嫌がらせを経験した数千人の医師のひとりだ。彼女は、命がけで他人の命を救おうとしている医療従事者は然るべき扱いを受けるべき存在だとよく理解しており、医療従事者に対するこのような攻撃は保釈の認められない犯罪であると政府に対して宣言するように求めるキャンペーンをスタートさせた。

彼女が国内及び国際ニュースチャンネルで自分のキャンペーンについて語ってからは、それまで以上に拡大していった。1か月も経たないうちに、政府は彼女の要求に応え、4月22日にエピデミック法を公布したのである。

「中央政府は、エピデミック法のもとで、医師など医療従事者に対する攻撃は、立件対象となる保釈の認められない犯罪であると認定しました。社会にとって真の意味での課題となるのは、この病気に押された烙印を消し、患者に共感と思いやりをもって遇することができるかどうかです。つらくタフな時代が長く続くことはまずありません。タフな人間は生き続けます」とサリカ医師は語っている。

筆者: ガルヴィタ・キブリ
コンテンツ・ストラテジスト(Change.org インド)
編集者: メリー・インボング
ラーニング・アソシエイト(Change.org財団)